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指圧と分派指圧 (指圧シリーズ第2弾)

2004年9月1日  池永 清 (Kiyoshi Ikenaga)  

1. 本来の『指圧療法』

~ 指圧療法の認知の流れ ~

1912年 浪越徳治郎先生によって、その原型が創案される。
1940年 日本指圧学校(Japan Shiatsu College) が創立される。
1955年 参議院・厚生労働委員会で法制化のための公聴会が開催される。
1955年 『あん摩(マッサージ・指圧を含む)師』として法制化される。
1957年 厚生省(現厚生労働省)より『指圧の定義』が認定される。
1964年 『あん摩マッサージ指圧師』と改正される。
このように、浪越徳治郎先生によって創案された指圧を基幹として、日本の『指圧療法』が発達し民間レベルでも政府レベルでも認知されて来たことが、浪越先生をもって指圧の創始者と呼ぶ所以であります。尚、下記に述べるように昭和の中頃から多くの分派指圧が考案されましたが、その考案者のほとんどは浪越門下生(日本指圧専門学校出身者)でありました。

海外においては、他の分派指圧と区別する為『浪越指圧』と呼ばれることがありますが、上記の指圧の歴史でもわかるようにように、本来『日本の指圧イコール浪越の指圧』であるので、これは正しい表現ではありません。指圧は指圧です。

2. 派生した『分派(デリバティブ)指圧』

指圧から分派した指圧と言う意味なのですが、中には指圧の定義から逸脱し全く別の治療法へと変わってしまったものもあり、特に決まった定義はありません。日本では、『指圧療法』の有資格者の為に、又は純粋に個人で指圧を習いたい人を対象に、各地で分派指圧の講習会が盛んに開かれておりまして、増永先生のZen-Shiatsuなどは日本だけでなく海外でも有名です。又、その考案者の多くが指圧の創始者・浪越徳治郎先生の教え子で日本の『指圧療法』を学んでおり、厚生労働省の指圧資格を有おります。しかし、これら分派指圧の講習会のみを受講しても、プロの施術者になる為の国家試験受講資格は得られません。

~ 分派指圧の種類 ~

Tsubo Shiatsu
日本で古来から『ツボ』と呼ばれる押圧点、反射点を、経絡理論から切り離して解剖生理学的に解明することを目的にしております。本来漢方医療のものであった経穴(メリディアンポイント)の科学的解明は、1980年頃に、石塚寛先生(医学博士・前徳島大学教授、現日本指圧専門学校校長)によって提唱されたのが最初ではないでしょうか。その後2003年に指圧カレッジ校長池永清(1986年日本指圧学校卒業)によって著書『Tsubo Shiatsu』が発表されました。

Meridian Shiatsu
日本語で経絡指圧。漢方医療理論を導入した指圧方法で、主に経絡線上に現れる経穴を本来の指圧と同じく主に親指で押圧します。 それ以外に特に決まった定義は無く、1964年に井沢正先生(1946年ごろ浪越門下生となる。後に日本指圧学校講師。)によって著書『経絡・経穴と指圧療法』が発表されました。

Zen (Ioh Kai)Shiatsu
増永静人先生(1958年日本指圧学校卒)によって考案されました。その英語版の著書は『Zen-Shiatsu』と題していますので海外では俗に『Zen-Shiatsu』と呼ばれていますが、ご存知のように、本来禅とは宗教用語でありますので、日本では『Zen-Shiatsu』とは呼ばれていません。
経絡指圧の一種ですが、本来のはりきゅうの為の経絡とは一線を画しているそうです。指圧の基本である母指圧よりも、肘や膝などを用いてAcupuncture(はり)の点を押圧する為、徒手をもって行うと定められている『指圧の定義』よりは逸脱し、むしろAcupressureに属すると言いった説が有力となっております。現在でも、増永先生によって開院された『医王会指圧センター』で3ヶ月程度の講習会(厚生省非公認)が開催されています。

Tao Shiatsu
遠藤喨及先生(日本指圧学校卒)『Zen Shiatsu』の流れをくんでおり、増永先生の死後『医王会指圧センター』より分派しました。より宗教的で精神修行に重点を置いており、講義の前に念仏を唱えるのも特徴のひとつです。東京、京都や海外などで、1日~2日程度の講習会を開催しています。

Oha Shiatsu
正確にはOHASHIATSU(大橋圧)で 米国に登録商標されてます。主宰の大橋先生は、いわゆる浪越門下生ではありませんが、1973年に浪越先生が渡米された際にニューヨークで開催された3日間の講習会を受講されました。又、押圧より体のバランスを整える事に主眼をおいている為、 『指圧療法』と言うよりはアメリカ生まれの整体指圧術といった感があります。

Macrobiotic Shiatsu
九司道夫先生(1926年生まれ)の提唱する『Kushi Macrobiotics』では、食事療法と共に、鍼灸、指圧、瞑想、漢方等の代替療法を積極的に取り入れております。アメリカバーモント州にある『Kushi Institute(non-profit educational organization)』において、Macrobiotic Career Trainingコースの科目の一つとして『Macrobiotic Shiatsu』を教えいます。

Others
指圧は本来『経験療法』であり、臨床経験に勝る修行法はあり得ません。従いまして、施術者の数だけ独特の『技』や『論理』、すなわち『分派指圧』が存在すると言っても過言ではないでしょう。但し、プロの施術者である以上、最低限の基礎教育(日本の厚生労働省で定められた基準に準ずるもの。基本指圧はもちろん、解剖生理病理学等の医療基礎、並びに臨床実習等、最低でも2ヵ年2000時間以上)を受けることは必須であります。どのような種類の『分派指圧』であっても、講習会などでそれだけを短期間で受講しただけでは、プロの施術者とは言えないのは当然のことでしょう。

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記事提供者

名前池永 清 (Kiyoshi Ikenaga)
連絡先604-904-4186 Eメール ウェブサイト
プロフィールカナダBC州指圧協会 理事
カナダ指圧カレッジ 学長
ICAS健康講座の講師を務めたことがある。
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