[PST/PDT]     [JST] 
[None] 天気情報を読み込み中...

「留学顕微鏡」 第十九回 いわゆる留学生の親プレパラート

「留学」は簡単ですよ。カナダの学校での勉強も簡単ですよ。2年も高校に通ったら大学に入れますよ。典型的な留学業者の勧誘文句です。インターネットで「留学」をサーチしてみて下さい。こんな言葉が並んでいます。

インチキな留学業者は大きな問題です。しかし、もっと大きな問題は、そのバラ色のイメージを鵜呑みにしてしまう日本の親なのです。業者がいかに言葉巧みに騙そうとも、最終的に留学させる決断をするのは親です。日本ですでに問題のあった子供たちの親です。精神的に危険な未成年を平気で外国に出す親です。今でもカナダでそのような日本の子供たちによく出会います。日本の親からの精神的な支えのないまま、カナダに追いやられた子供たちです。

強引な推薦に根負けし、一度だけそのような高校生を扱ったことがあります。その子は日本の中学で問題がありました。カナダでは学校をさぼって街に遊びに行きました。ホストファミリーには何度も嘘をつき、学校やホームステイでの規則を守れませんでした。そんな子供はいつか危険に遭遇すると危惧し、帰国させることを強く親に勧めました。親はその子が問題のある子だと認めはしました。しかし、本人がカナダに留まることを希望しているという理由で、帰国させることに同意しませんでした。その後まもなく、その子は警察の介入する問題に巻き込まれ、結局帰国しました。皮肉なことに、その子が引き起こした問題や、その子自身の問題は、最後に起った問題の深刻さの影に隠れてしまいました。親は、その子が犠牲者だと思い込みました。こんなことはこの事例だけではありません。数え切れないほどあると思います。

これも最近の話ですが、ある「犠牲者」の母親から電話がありました。カナダで交換留学をした子供です。留学団体、ホストファミリー、留学カウンセラー、ことごとく周りの人間の文句を聞かされました。しかし、その感情的な訴えの内容をよく分析してみると、「バラ色」の留学の夢が壊れた母親が怒り、復讐をしているように思えました。留学は簡単ではありませんし、商売をしている業者から留学の真実など聞くことは出来ません。しかし、親たちも実は留学の難しさになど関心はないんだと思いました。親たちが留学に求めているのは、誰か自分の代わりに子供の面倒を見てくれる場所ではないでしょうか。送り出すときには「留学の難しさ」には聞く耳も持たなかったくせに、いったん問題が起ると、現地の教師を責め、業者を責め、学校を責めます。自分の子供は「犠牲者」なので責めません。日本でも同じように子供を扱っていたのだと思います。挙句の果ては、留学先で自分の子供の失敗に直面すると、突然正義のヒーローのように振舞い始める親がいます。「留学」の悪を暴く!とか何とか。 

こんなわけで長期の留学生の世話をするのはきっぱりと止めました。生徒の面倒をみるのが難しいのではなく、親の面倒をみるのに辟易としたからです。

関連記事:


記事提供者

名前ロバート・ミックミラン (Robert McMillan)
連絡先 Eメール ウェブサイト
プロフィールカナダ出身。愛媛在住20年。
論理的思考を教えることに重点をおいた英語教育に従事。ロバートの手にかかった日本人は圧倒的なWriting能力持ち、日本内外で活躍中。また母国カナダに留学する日本人のサポートに長年従事。
2004年2月、留学のバイブルと絶賛されて「留学せん事」出版。2006年6月には日本語で書いた小説「ラユーのメニュー」出版。
画像

コメントする

コメントは受け付けていません。