在外やぶにらみ 第5回 イルカの捕殺に対する批判は<日本たたき>にあらず
2008年3月10日 渡邉 正樹 (Masaki Watanabe)
<在外>生活が長くなると、外国人に日本人の行動や習慣を批判されても、面の皮が厚くなるというか、わりと平気になる。それでも「またか…」とウンザリする事が時たまある。
捕鯨やイルカの捕殺をめぐる国際メディアの「日本人は残酷である」的な報道もその一つ。戦時中の日本帝国陸軍の行為なども槍玉に上がるが、何しろ歴史的解釈の領域だし、二、三世代経った今の日本人の国民性は変わったとも思える。だが捕鯨やイルカ猟(哺乳動物だから厳密には「漁」と書かないそうだ)は今でも続いている。
最近また非難の声が高まっている。母クジラと仔クジラらしき二頭が逆さ吊りになって捕鯨船内に引きこまれる写真をオーストラリアや英国の新聞で見た。キャプションは残酷さを強調している。と思ったら数日後、CNN国際放送が静岡県伊豆半島の富戸だか例のイルカの<追い込み猟>を取材、湾内の水が真っ赤に染まる刺激的な画面を流した。
欧米人が「テリブル!」と目をしかめている様が浮かぶ。もし同胞以外の友人、知人や身内と一緒だったら、一瞬嫌悪感が漂うかもしれない。クジラや特にイルカを愛しむ人は日本人を含めて多い。もし日本人を代弁したつもりで<文化の違い>などを持ち出しても、感情も絡んでるからまず無駄とわかっている。それでウンザリなのだが、ではどうしたらいいのか。日本の事、日本人の行動を外国人が批判した場合に限り、あたかも「XXするのは日本人だけだ」と糾弾されたが如く怒ったり消沈したりする傾向がある。国内メディアも「ほらまた<日本たたき>が始まった」という論調をとる事が多い。こうした錯覚からそろそろ目覚めようではないか。
この場合批判は個人攻撃ではない。まずそれを念頭に「日本人にも色々のタイプあるんだよ」と冷静でいたいものだ。
なお個人的にはイルカ猟についていい気持ちはしないし食べたいとも思わない。国内のイルカ好きの人達はどうしているんだろう。調べてみると一例に日米の環境・動物保護関係の四団体が<日本のイルカを救うための連盟>を立ち上げて活動している。
イルカは世界的資産で「人種、国籍を問わず、その保護のために声をあげるのは当然」という立場で「決して海外からの『当事国たたき』、いわゆる『日本たたき』のような活動はしてません」とわざわざ断っている。
でも今の若い世代は結構さばけているから、ひょっとするとそれ程<日本たたき>に敏感ではなくなっているのかもしれない。
(月刊パルティ08年3月号向け・Mapletown 併載)
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記事提供者
| 名前 | 渡邉 正樹 (Masaki Watanabe) |
|---|---|
| 連絡先 | 604-221-7393 |
| プロフィール | 東京生まれ。 特派員の父と共に一家で英国、イタリア生活を経験、東京に戻り大卒後、ロンドンでロイター通信に就職。ローマ、ワシントン、パリ各支局勤務を経て、フリーランサーに転向。 サンフランシスコと東京で70年代を過ごした後、シンガポールに移住、英字紙、シンガポール経済開発庁広報部、シンガポール航空機内誌編集を歴任。97年シンガポール人の妻、2児と共にカナダ・バンクーバーに移住。 現在は翻訳と雑文書きの傍らジャズ・ギターで仲間と<ギグ>することも。 |
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